瞑想するとα波が減少する?最新の瞑想の脳科学研究を解説

「瞑想はリラックス」ではなかった?
瞑想といえば、リラックスして心が穏やかになり、脳も休息モードに入るというイメージを持っている人が多いのではないでしょうか。確かに、瞑想をした後は心身が落ち着いているように感じます。
しかし、2024年にInternational Journal of Psychophysiologyに掲載された最新の脳科学研究によると、瞑想の脳への作用は単純なリラックスだけではないことがわかってきました。
瞑想中のα波が「減少」している
オーストラリアのウォロンゴン大学の研究チームは、瞑想初心者の若年成人40人(平均年齢約20歳)を対象に、6週間にわたってマインドフルネス瞑想の実践を追跡したのです。研究リンク
研究では、Neuroscan SynAmps2アンプと呼ばれる業界標準的なEEG機器を使用して、脳波の変化を詳細に測定しました。(このデバイスのついては後述)
SynAmps RT 64-channel Amplifier – Compumedics Neuroscan
compumedicsneuroscan.com
[](https://compumedicsneuroscan.com/product/synamps-rt-64-channel-eeg-erp-ep-amplifier/)
その結果、驚くべきことが明らかになりました。
瞑想中の脳波、特にアルファ波(8~13ヘルツ)が有意に減少していたのです。
アルファ波は通常、目を閉じてリラックスしている時に強く現れる脳波で、一般的には、瞑想中にこの波がより強くなると考えられていたのですが、実際には逆だったわけです。
脳が「集中している」という証拠
では、アルファ波の減少は何を意味するのでしょうか。
脳科学の研究によると、アルファ波が減少するというのは、脳が何かに集中して活動している状態を示している、と報告しています。
すなわち瞑想中の脳はリラックスしているのではなく、むしろ集中力を働かせている可能性が示唆されたのです。
また、この研究では、瞑想中のアルファ波の減少が、前頭前皮質(集中力や意思決定を担う領域)や頭頂皮質(注意の向け方をコントロールする領域)の活動の増加と関連していることが確認されました。
つまり、瞑想をしている時、私たちの脳は注意集中のためのメカニズムをフ稼働させている可能性があるのです。
瞑想を習慣化することで得られる変化
さらに興味深いのは、6週間の毎日の瞑想実践によって、α波の出方が更に変化したということです。
研究では1回目は瞑想実践前、2回目は6週間毎日瞑想をした後の2回のEEG測定が行われました。
その結果、マインドフルネス瞑想を続けたグループでは、瞑想中のα波の減少量が、2回目の測定で小さくなっていたのです。
これは、脳が瞑想に慣れたことを示している可能性がある、と報告しています。
最初は脳が頑張って集中しようとしてα波が低下していたのに対し、6週間後には、より少ない努力で効率的に集中できるようにな理、α波の減少量が減った、ということです。
まさに、筋トレと同じです。最初は重いダンベルを持ち上げるのに大きな力が必要ですが、繰り返し練習すると、同じ重さでも楽に動かせるようになります。
瞑想も同様に、脳の注意力という「筋肉」が、毎日の練習によって強化・効率化されていくことが示唆されています。
シータ波とベータ波にも変化がある
もう一つ重要な発見がありました。シータ波(4~7.5ヘルツ)の増加です。
瞑想実践前後で比較すると、両グループ(瞑想グループと、対照として毎日クラシック音楽を聴いたグループ)でシータ波が増加していました。
これは、定期的な短時間の瞑想や音楽鑑賞という日々の習慣が、脳に穏やかな効果をもたらしている可能性を示唆しています。
ベータ波(13.5~30ヘルツ)にも興味深い変化が見られました。
マインドフルネスグループでは、6週間後もベータ波が安定していたのに対し、クラシック音楽グループでは変動を示しました。
これは、瞑想という集中的な実践が、脳のより深い部分で安定性をもたらしている可能性を示唆しているのです。
この研究の信ぴょう性について
この研究は、International Journal of Psychophysiologyという、国際心理生理学学会(International Organization of Psychophysiology)の公式ジャーナルであり、脳科学・心理学分野における最も尊敬される査読済み学術誌に2024年11月に掲載されています。
この雑誌は出版大手のElsevier社から42年間にわたって継続発行されており、1983年の創刊以来、世界中の研究コミュニティから信頼を集めています。
この雑誌の影響力を示す指標として、Impact Factor 2.6(2024年版)という数値があります。
Impact Factor とは、過去2年間の論文がどれだけ他の研究者に引用されているかの平均値です。心理学分野では平均的なジャーナルのImpact Factor は1.0~2.0程度ですので、2.6 というスコアは、同じ分野の多くの学術誌よりも高い影響力を持っています。この分野の全学術誌を Impact Factor でランキングした場合、上位30%未満に入るレベルの高い学術誌です。
更に学術的な信頼性の指標として、この雑誌はWeb of Science Core Citation Indexes(世界的に認められた学術データベース)に登録されており、h-index(引用影響度指数)は155という高い数値を保っています。
つまり、世界的に認められた査読済みの権威ある学術雑誌に掲載された、信頼性の高い科学的知見だと言えるでしょう。
科学的根拠とは?については下記もご一読ください。
瞑想は「脳のトレーニング」から「心の安定」へ
この研究の最大の価値は、瞑想をシンプルに「リラックス法」として理解するのではなく、「脳の注意力を鍛えるトレーニング」としての意味合いがある可能性を示唆した部分です。
もし、あなたが勉強や仕事で集中力が必要なら、瞑想はその力を鍛えるための実践的なツールになり得ルのです。そして、6週間で脳の変化は確認できるのです。
この研究で使用されている脳波計について
この研究には医療グレードの脳波計が使われています。
そこで、ZONEが扱う簡易脳波計の何が違うのかについてもまとめてみましょう。
ウォロンゴン大学の研究チームが使用したNeuroscan SynAmps2というEEG機器は、医療・研究機関向けの臨床グレード装置です。
SynAmps RT 64-channel Amplifier – Compumedics Neuroscan
compumedicsneuroscan.com
[](https://compumedicsneuroscan.com/product/synamps-rt-64-channel-eeg-erp-ep-amplifier/)
Neuroscan SynAmps2は最大64チャンネルまで対応可能な脳波計です。(この研究ではInternational 10-20 systemという標準的な脳波測定規格に基づく19個の電極サイトを使用して測定を行っています。)
このレベルになると、脳全体から全周波数帯域を同時に測定できるため、Delta波(1~3.5ヘルツ)という非常に低い周波数から、Gamma波(30~45ヘルツ)という高周波まで、脳のあらゆる電気活動を領域別に捉えることができます。
また、複数の電磁干渉フィルターを搭載しているため、筋肉の動きや目の動きによる生体内のノイズを除去しながら、真の脳波だけを抽出するのです。
こうした医療グレードの脳波計は数百万円するのが一般的です。
また、精密測定を実施するには大学の実験室のような厳密にコントロールされた環境が不可欠になるのです。
ちなみに日本国内でも医療・研究機関向けの高精度脳波計が開発されており、日本光電の「EEG-1200シリーズ ニューロファックス」などがNeuroscan SynAmps2と同様のレベルの医療グレード装置として、全国の大学や医療機関で使用されています。こちら価格のは税込652万円です。
こうした研究用脳波計があるからこそ、「瞑想中のアルファ波が減少する」「その変化が6週間で脳に刻み込まれる」といった発見が、権威ある学術誌で掲載可能になります。
ただ同時に、こうした装置は日常的に瞑想の習慣を身につけるためのツールではないというのが現実です。
そこで登場したのがZONEが取り扱う消費者向けの脳波デバイスです。
脳波デバイス Muse S Athena【STORES】
従来のEEG(脳波)センシングに加え、血流と酸素濃度を計測できるfNIRSセンサーを搭載。 リアルタイムで脳の集中・リラッ
zonebrain.stores.jp
82,500円
「ゾーンに入る」を可視化する【ZONE】で購入する
脳波デバイスZentopia【STORES】
脳波デバイスZentopiaを利用するには別途、専用アプリが必要です。 iPhone及びAndroid両方のアプリに対応(
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脳波デバイス Muse2【STORES】
・海外で話題の脳波測定デバイス「muse」の後継機「muse2」 ・NASAやマサチューセッツ工科大学でも利用されている高
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これらの簡易脳波計の仕様は、研究用装置と比べると、センサー数は約5分の1、サンプリングレートは約半分という仕様になっています。価格は10万円前後のものが多いです。
研究用と民間用の本質的な違いは、データをどう処理するかにあります。
研究用の脳波計は、ノイズの乗らない脳波の生データそのものが価値であり、研究者がその複雑な波形を専門的に、詳細に分析します。
これは研究としての科学的信ぴょう性を担保するために必要なものですが、専門家でも大変な知識と労力が必要になり、日常的な習慣の可視化には過剰な情報になりやすいのです。
一方、簡易脳波計は限られたセンサーから取得した脳波の生データとノイズを、各メーカーの基礎研究データとアルゴリズムを通して「リラックス度」や「集中度」といった日常的に理解しやすい指標に変換します。
もちろん簡易脳波計ような数個のセンサーからの限定的な測定では、そうした空間的な特定性は劣ります。しかし、日常的な瞑想・睡眠の可視化や、メディテーションの習慣化という観点からは、装着や扱いが簡単な簡易脳波計の方がはるかに向いているのです。
また、それぞれに脳波だけではなく「fNIRS」や「血中酸素飽和度」「脈拍」「ジャイロスコープ」などの指標取得センサーも取り入れることで、脳波だけのデータで欠落する部分を補強しています。
EEG簡易脳波計を毎日つけることで、自分の瞑想の深さや効果を継続的に追跡できれば、習慣として定着しやすくなります。
ウォロンゴン大学の研究が示したのは「精密な脳波計で精密に測定すれば、瞑想の脳への影響が科学的に証明できる」ということ。
その一方で、あなたが今から瞑想を始めるなら、必要なのは「毎日続ける」という実践のサポートです。
その意味で、手頃な価格で、扱いが簡単で、毎日継続しやすい簡易脳波計こそが、瞑想を生活に取り込むための最良のパートナーになり得るのだと考えています。
参考文献・関連リンク
論文
Mindfulness meditation is associated with global EEG spectral changes in theta, alpha, and beta amplitudes Alexander T. Duda, Adam R. Clarke, Robert J. Barry, Frances M. De Blasio International Journal of Psychophysiology, Volume 206, December 2024, Article 112465
関連研究
Neuroscience research shows how mindfulness meditation fosters a unique state of relaxed alertness PsyPost (2024年11月29日)
研究機関
University of Wollongong - Brain & Behaviour Research Institute
この記事について: 本記事は、2024年11月にInternational Journal of Psychophysiologyに掲載されたDuda et al.の研究(DOI: 10.1016/j.ijpsycho.2024.112465)を基に執筆されています。ZONEは、科学的根拠と個人の体験を大切にしながら、瞑想と脳科学に関する情報をお届けしています。
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